東葛経営活性化協会コラム 第14回
早いもので今年に入り2か月が経ったが、昨年と違う空気を感じている。
経済情勢については昨年目まぐるしく動いた為替相場も大きく変化し、円高・ドル安基調をたどり、半年前の状況に戻りつつある。また、物価高騰が増々、社会問題となっていく中で、従業員の賃上げが叫ばれ、初任給とベア賃上げ実施や諸手当を謳う企業も出てきている。
朝、電車に乗っても、2年程前の乗車率が戻ってきたように思える。コロナ禍で推し進めた企業の在宅勤務が減少したのか、乗車率が落ちたから故に通勤時間帯の電車本数を減少したためか、多分、両方が影響していることと思う。一度減らした電車本数を簡単には戻すことはせずに効率化を優先し、しばらく今の状況が続くのではないかと思う。
今年一年間どうなるものか、不透明な時代は続いていくが、経営コンサル業に携わり中で、二、三思うことを記したいと思う。
まず、規模はともかく、企業内では業績向上のためには先程の電車の話ではないが、業務の『効率化』が求められている。仕事を進める上でのプロセスから、ムリがあるもの、ムダがあるもの、ムラがあるものを見つけ出して省き、非効率な業務を改善する。例えば、ITツールの導入やRPAによる自動化、社外へのアウトソーシング等である。ちなみにRPAは筆者が勤務していた大手企業でも取り組んでいたのを覚えている。
これらの支援も経営コンサルの仕事の一つではあるものの、重要なことは、効率化してどうしたいのか、効率化し省力化した時間とコストを何に充当していきたいのか、このイメージ、つまり効率化の目的とゴールが明確になっているかであると思う。このイメージ作りを経営者の方々とともに創りあげながら効率化に向けて支援していくことが肝要だと思う。
また、経営コンサル、主に中小企業診断士の登竜門的な仕事として位置付けられている一つに国の補助金申請サポート業務がある。申請時に提出が必要な事業計画書作成のサポートを行い、申請手続きを代行、採択以降~交付決定迄の提出書類の不備修正と再提出を代行、必要に応じて、交付決定後、補助事業実施後の実績報告書提出迄の支援をすることを一連の業務としている。実際は、事業計画書作成ぐらいまでを仕事としている人が多く、採択をもって収入を得ている。
果たして、本当にこれらのサポートが事業者のための支援となっているのであろうか。
また、本当に支援が必要な人へアプローチし、リーチし、本来的な意味での支援となっているのであろうか、単なる稼ぐための仕事となっていないか。この枠から出られない中小企業診断士も数多くいる。
補助金を手掛ける士業、士業でなくてもこの道のベテランは数多くいて、事業計画書作成セミナーといった有料セミナーも数々存在している。このように補助金支援は既に普及した業務ではあるが、補助金獲得は現行事業の改革、あるいは新しい事業を運営していく上でのあくまで資金調達手段の一つであり、広く見れば、支援の一部分でしかないと考える視点が大切ではないだろうか。
冒頭、経営者を取り巻く環境変化について触れたが、取り巻く変化により今迄は必要でなかった、あるいは重要視されず見過ごされていた領域が必ずある。その領域をいち早く察知し、実際に肌で感じ、事業者目線で事業者へ提供できるサービスレベルまで落とし込んでいくことが必要で、それらの具現化検討していくことこそ、求められている昨今の経営支援ではないかと考える。補助金獲得のみではなく総合的な経営支援が求められており、ドクターに例えればドクター・G(ジェネラル)である。そこに知識、経験、ノウハウが集約し、先を見通していく力が求められている。
ご周知のとおり、幸か不幸か知っているものと知らないものの間で大きく差がつく世の中で、情報の取り方一つで状況が一転しかねないこともある。激しく変化していく経済環境下で事業者の方々の経営に必要な情報をタイムリーに、かつ的確に提供していくこと、その仕組みを考え、サービス提供していくことが現在の経営コンサルの課題であり、任務ではないだろうか。
このような本質的な支援を今年は数多く実施し、是非とも企業の活性化に貢献していきたいと考える次第である。
東葛経営活性化協会 代表理事 西村利夫