東葛経営活性化協会コラム第31回
今回は、毎年恒例の中小企業白書・小規模企業白書から読み取る国の中小企業政策についてご紹介したいと思います。国の方向性をいち早く入手し理解することで、自社の経営課題の改善、解決に活用してみてはいかがでしょうか。
中小企業白書・小規模企業白書とは、中小企業庁が毎年国会に提出する報告書で、国の政策の方向性が示されています。白書には毎年、複数のテーマとキーワードが設定されています。その中で象徴的なものをピックアップしていきます。
今年5月に公表された2024年度版では、「生産性向上の取組の強化」として、飛躍的な成長に向け「省力化投資を通じた生産性向上」や「人材確保、育成と資金調達」、「海外需要の取り組み」となっています。これを受け、「中小企業省力化投資補助金」が新設されました。最高1,500万円の補助金が出ます。
また、直近5年の振り返ると国の中小企業政策は一貫した流れがあることに気づきます。
コロナ禍直前の2020年は、「中小企業の新陳代謝」、生産性の低い企業の退出と記されております。これまでの国の中小企業政策の転換とも解釈できる内容で、当時の日本経済新聞でも大きく報道されていました。経営者の円滑な世代交代や、統廃合等、経済・社会構造の変化に合わせた取り組みが必要と指摘しています。
コロナ禍の時期は、未曾有の危機を乗り越えるための事業継続支援が主でした。2021-22年は、「経営者の危機を乗り越える力」、それには「経営者の自己変革」必要と続きます。
2023年はコロナ禍の収束を見据え「変革の好機を捉え成長」と続きます。
一方で、毎年テーマとなっているのが、商工会や中小企業診断士等の「支援機関の有効活用、伴奏支援」・「事業承継」・「デジタル化」・「事業再構築」です。
まとめとして、直近5年間の中小企業・小規模事業政策は次のようになります。
中小企業・小規模事業者の新陳代謝を促し、生産性向上を図るには、事業者の自己変革が求められます。これは「危機を乗り越えるに」も有効です。コロナ禍による社会生活の変化を前向きに捉え、時代変化を見据え自己の強みを生かすことが重要で、「生産性向上の取組の強化」には、デジタル化の推進等の設備投資や事業転換等を積極的に図ることが効果的であるとしています。
そして、国は「チャレンジする事業者・経営者を中小企業診断士等のプロフェッショナル支援者・商工会等の支援機関の伴走型を通じ支援します。」としているのです。
東葛経営活性化協会 副会長 早川昌宏