東葛経営活性化協会コラム第34回

最近の人材活用や人事面で考えさせられる事柄があったので紹介する。

派遣社員の募集内容にもよるが、時給を高くすれば、ある程度の応募はあるが、高すぎると警戒されるらしい。そのため、中の上程度の時給で応募し、実際にそれなりに応募があり、採用するが、かなりの高確率で契約更新しないか辞めて行く。(1〜2カ月で退職)

派遣社員側の理由は、①仕事の難易度が高い、②思っていた事と違う③家庭の事情、などが表向きの理由である。

採用部門の話しでは、① 何度教えても覚えてくれない② 作業が遅い ③間違いが多い、などが上がっている。

派遣社員の採用で認識のずれや、ミスマッチが発生している?これが、一人や二人であれば、そうかとも思えたが、早くも十人を超えた。

色々と、疑問が湧いてくる。・募集内容に問題はないのか?・業務内容が的確に伝わっているのか?・業務内容の難易度が高いのか?・本当に能力が足りない人ばかり来るのか?

事業部によって、事情は異なるが、一つ目の理由は、難易度が正確に伝わらない事が挙げられる。言葉では、単に事務処理だが、会社によって難易度は、異なる。(重要な顧客や要人がよく来る会社と、そうでない会社の、受付対応が違うように)実際に体験してみないと伝わらない事も多々ある。単に郵便物の仕分けと言っても、多くの部門が存在し、荷物に個人情報が含まれている為、間違いがあると紛失に繋がり、重大な事故となり、場合によっては、取引先に多大な迷惑をかけることがある。この企業ならではの理由もあり、求められる、正確性や納期が図れず、実際には思っていたより大変だとなる。

もちろん、原因は一つだけでは無く、その部門で派遣社員にお願いしようとした業務は、退職した熟練正社員が行っていた。後続作業もあるので、納期は変えられない。教える方も早く一人前になって欲しくて、初心者マークも取れないうちに、期待を込めて教えるが、そんなにすぐに育つ訳もない。

すると、お互いに悪循環が始まる。

派遣社員側では、派遣なのに、『ここまでやらなければならないのか!』、『細かすぎて対応できない』、『間違えた場合の責任が重い』、となる。

教える側では、『何回も教えたのに』、『このレベルも出来ないの?』、となり、人によっては、『キレる』

会社としては、教える側の教育が重要である。教育をすることに慣れていないと、すぐに自身と同じ事務レベルの内容を求めてしまう。

実例として次のようなことがあった。

教育者Aが問題点の一つに派遣社員が、とある書類をながめていることが多い。その教育者Aは理由が不明だとのこと。しかし、別の教育者Bに聞いたところ、派遣社員は、書類の対応が不明だが、教育者Aに聞きくのが怖くて聞けない。だから、教育者Aが離席した時に、教育者Bに聞きにくるようになっていた(そのため、ながめているように見える)。実際のところ、教育者Aは、派遣社員に、対応が遅い、間違いがある、何回教えた?など叱責を複数回行っていたようである。

作業時間など、熟練者と入社したての者の知識の違いを良く理解し、間違えもリカバリーをし、広い心で対応することが重要である。それが出来ない人を教育者にしてはいけないとあらためて思う。

派遣社員の方のレベルの違いもあるが、常に出来る人が入社するとは限らない。入社した方の得意、不得意を認識して、どんな人が来ても対応できる多様な人材を活かせる企業が、発展して行く企業となるのではないかと思う。

 次に、最近、ハラスメント関係で考えさせられることがあった。因みに、こちらの企業は、被害に遭われた方に優しい会社です。

Sさん(本社管理職)と、Hさん(別の拠点勤務の事務職)は、お互いによくは思っておらず、Sさんは、Hさんのことを事務レベルが低く注意力が足りない。逆に、Hさんは、Sさんのことを、細かいことをチクチク指摘してくる本社の管理職と思っています。ある日、Sさんは、Hさんのミスを、ここぞとばかりに吊し上げた(メールでの叱責で、関係者一同がCCに入っている)。すると、Hさんから、これは、ハラスメントだ!とHさんの直属の上司に直訴しました。結果、Sさんは、火消しに大変なことになりました。

しかし、そのメールの内容は、Sさんが叱責するいつもの内容と比べると、かなり抑えられた内容でした。

何故、そう捉えられたのか?考えると、次のようなことが考えられる。

  1. メールは読み手のその時の感情により、印象の強弱が変わる。
  2. 日頃のコミュニケーションが少ないため、お互いの意思が伝わり難く、悪い方に捉えられた。

現に、Hさんは、その日以後に身近な方の不幸がありました。おそらく、その日も色々と大変な状況で、心理的にも不安定な時期であったことが予想されました。

いつものSさんの勢いで注意メールを送付したら、即死でした。

対策として、このような場合、メールではなく、電話する(直接話す)、普段からコミュニケーションが無いのであれば、直属の上司にお願いするなどがよかったのではと思う。

人材不足が深刻な今日、多様な人材を受け入れるには、器の広さが必要だと改めて気付かされた。そして、多様な人材を活用するためには、自身だけでなく、周りを見渡し、お互いに助け合いながら成長できる従業員(管理職)が必要で、そういう人材がいる企業が、本当に必要とされる企業に変化していくのではと思う。

東葛経営活性化協会 会員