東葛経営活性化協会コラム 第4回

「長期化するコロナ影響に直面する中小零細企業の現状と今後の課題」 後編

中小零細企業の課題

 コロナ禍の過酷な経済環境において、一時的には不採算により借入等で赤字補填し債務超過に陥ったとしても、あきらめないで経営努力を重ねて対策を打ち出して黒字転換している企業も存在する。筆者は審査業務においてコロナ禍の中小企業の決算書を数百件は目にした。感染拡大防止対策の徹底や、対面営業が難しくなったことをネット販売やオンライン営業に切り替えて軌道修正し売上を確保している企業も多い。未曽有の状況に途方にくれる企業と対策をいち早く検討して実施してきた企業との間ではこの2年間で雲泥の差が出ている。今のウイズコロナの環境からアフターコロナに向けて着々と経営努力をしている社長が相当数存在したことに、経営資源が少なく競争力が弱いからこそ培われる中小企業のたくましさと経営転換しやすいフットワークの軽さを肌で感じた。

「優秀な経営者はコロナに適応している。」コロナ禍において変化する経済環境に自社を適応させようと試行錯誤している。

コロナで過酷な経済環境が続いてはいるがそれでも経営に対しての工夫を重ね、アイデアを捻りだして存続している零細企業は多くあるのだ。

一言で言えば「経済環境に適応したビジネスモデルの転換」

ウイズコロナ、アフターコロナの中小企業にとって新たな道を拓くためにはビジネスモデルの再構築が課題となっている。

・感染拡大防止のため密を避けて完全予約制を導入して売上増加した美容室や施術院

・テイクアウトだけでなく一般家庭向け食材のネット販売を導入して売上確保した飲食店

・感染拡大防止のためオンライン授業をいち早く導入して生徒数を確保している学習塾、ダンス教室

・廃業した小売店の倉庫を買い取りして物流拠点として活用してコストダウンを実現した運送業。

・巣ごもり需要に着目して近隣地域に特化、小口輸送に対応して収益改善した軽貨物運送業

・装飾紙箱製造から飲食テイクアウト用容器販売へ業態転換

このように色々なアイデアでコロナ禍でも収益を確保している企業の事例は多くある。

それらの企業に共通していることは新しい収益の上がるビジネスモデルを捻出して未曽有の経済環境に適応していることだ。

コロナで廃業する企業も増えるだろうが生き残る企業はコロナ以前とは異なるビジネスモデルへトランスフォームして競争力を培って市場に残るだろう。廃業した企業のシェアを他の企業が得ることで残る企業にとっては事業基盤が強化されることにもなる。数が多すぎて生産性が低いと言われる日本の中小企業にとってはコロナで再編が進むことはプラスの側面としてとらえることもできる。これからは事業再構築して新たなビジネスモデルを確立した中小企業がコロナ禍を生き抜き、日本の中小企業の生産性を高めていってくれるのではないだろうか。

 コロナが流行して3年目の今年、コロナウイルス感染症特別貸付の取扱は終了してしまうが政府からは事業再構築補助金、事業復活支援金、小規模事業持続化補助金(新年度版)といった新たな施策が打ち出されている。こうした補助金を活用するには認定支援機関を取得した専門家を窓口にする必要があるが、一つでも多くの中小零細企業が新たな中小企業支援施策を活用してコロナ危機を乗り越えてくれることを祈る。コロナ危機は中小零細企業にとってピンチではあるが、存続する企業にとってはシェア拡大のチャンスとも言える。コロナ禍の中小零細企業の事業再構築といった課題解決に向けて中小企業支援施策の補助金を活用することは有効な手段となる。コロナ禍の企業が「水中で息を止めている状態」だとするならば補助金を活用して事業再構築を実現することは水中から脱する「浮き輪」を得るがごとく中小零細企業が生き残る手段となる。必要であれば税理士、社会保険労務士、中小企業診断士といった専門家の支援を受けることも一つの手段であり事業再構築の第一歩となるのかもしれない。

東葛経営活性化協会 会員