東葛経営活性化協会コラム 第20回
令和5年5月8日からの新型コロナウイルス感染症の5類移行から4ケ月が経過しようとしています。周囲を見渡すと、在宅ワークの定着等、新しい生活様式へ転換したものもあれば、通勤ラッシュの復活のように、これまでの日常に戻った光景も多々見られます。
企業経営を支援する中小企業診断士の観点からは、新たな価値観が急速に浸透し定着していることは、ビジネスチャンスであり飛躍の基盤を築く絶好の機会である一方で、企業存続の危機でもあります。
コロナ禍で大きな影響を受けた飲食業に焦点を向けると、ここにきて濃淡がはっきりと見て取れます。東京商工リサーチの「2023年上半期(1-6月)「飲食業の倒産動向」調査:令和5年7月6日」によると、『過去30年間で最多の424件。業種別では、コロナ禍で参入が相次いだ「宅配飲食サービス業」が前年同期比210.0%増(10→31件)、「持ち帰り飲食サービス業」も同137.5%増(8→19件)と大幅に増加した。三密回避の浸透で、「酒場,ビヤホール(居酒屋)」も同47.5%増の90件発生し、特に、小・零細企業の苦戦が続いている。』
協力金で新車購入していた店主は論外として、下記のことを常日頃、考え、実践してきた飲食店は、今日も大盛況です。全て対応できれば無敵ですが、複数対応できていることがポイントです。
・常に味を磨き上げる
提供しているメニューは、本当に美味しいのか?飲食の基本中の基本ですね。伝統として守るもの、時代に合わせて変えていくものとのメニュー構成を意識するのが得策です。顔見知りからの味の評価は、話半分と考えた方が良いでしょう。知り合いに面と向かって「不味い」とは言い辛いのが人情です。また、味覚は個人差があるので出来るだけ多くの人に評価を貰いましょう。
・自店の特色の鮮度を保つ
流行始めると皆が真似をし始めます。気が付くと貴店と同じような店が、あちらこちらに林立します。埋没してませんか?流行れば流行る程、大手チェーンの進出割合が高くなり、地域の業界地図が一変します。
・心地よい、もしくは楽しい時間を提供できているのか
貴店は、お客様の小さな非日常に彩を添える心遣いができていますか?業態に合ったおもてなしができていますでしょうか?基本動作から見直しましょう。
お店は隅々まで綺麗になっていますか?オーダーを取りに来ない。酷い場合、店員と目が合っても無視。こうなるとその店は終了ですね。会計がスムーズでないのも減点ポイント。キャッシュレス決済は、対応できるに越したことは無いです。
・効率化の取組
今風に言うとデジタル化DX推進ですが、良く分かりませんね。流行言葉に惑わされないで下さい。日々のルーチン業務から見直しましょう。紙伝票をスマホやタブレットで処理できるようにする等、改善できることは数多くあります。特にバックヤード業務(事務作業)の効率化の効果は抜群です。
この場では、一般論として希釈した内容かつ、一部しかご紹介できません。「じゃぁ、私の場合どうやればいいのでしょうか?」と思った方は、協会まで個別にお問い合わせください。
東葛経営活性化協会 副会長 早川昌宏